連載 TOPICS─文献紹介〈炎症関連〉
T 細胞受容体のコアフコースは,炎症性腸疾患の発症に重要な役割をもつ〔Review from ─ Gastroenterology 2016;150:1620-1632〕
三善 英知
1
,
藤井 宏修
1
,
鎌田 佳宏
1
,
新崎 信一郎
2
,
飯島 英樹
2
,
竹原 徹郎
2
1大阪大学大学院医学系研究科機能診断科学
2同 消化器内科学
キーワード:
炎症性腸疾患
,
コアフコース
,
T細胞
,
糖鎖
Keyword:
炎症性腸疾患
,
コアフコース
,
T細胞
,
糖鎖
pp.273-275
発行日 2017年5月20日
Published Date 2017/5/20
DOI https://doi.org/10.19020/INT.0000000063
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炎症性腸疾患(infl ammatory bowel disease;IBD)とは,クローン病と潰瘍性大腸炎に大別される,腸管に慢性・再発性に炎症を引き起こす原因不明の難病であり,免疫学的な異常が関与していると考えられている.近年IBD と糖鎖に関する報告が多数されており,糖鎖免疫シグナルがIBD の発症になんらかの関わりがあるのではないかと以前から考えていた.糖鎖は,蛋白質の翻訳後修飾を担う重要な生体分子で,蛋白質全体の約60%に結合している.蛋白質に結合する糖鎖は,N 型とO 型に大別され,コアフコースとはN 型糖鎖の根元に結合するフコースを意味する.この糖鎖構造は,糖転移酵素Fut8(α1 〜 6 フコース転移酵素)の作用によって作られ,正常の肝臓ではほとんど発現しないが,癌や炎症に伴って増加する.私たちは1996 年,Fut8 の蛋白精製と遺伝子クローニングに成功した1).また共同研究により2012 年には,このコアフコースという糖鎖構造を特異的に認識するPhoSL(Pholiota squarrosalectin)というレクチンをスギタケから精製,クローニングした
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