連載 TOPICS─文献紹介〈炎症関連〉
便中カルプロテクチンはバルーン小腸内視鏡とCT エンテログラフィーで確認した小腸クローン病の重症度と相関する〔Review from ─ Clin Gastroenterol Hepatol 2017;15:56-62〕
竹内 健
1
,
新井 典岳
1
,
鈴木 康夫
1
1東邦大学医療センター佐倉病院内科学講座消化器内科学分野
キーワード:
活動性小腸病変
,
バルーン小腸内視鏡
,
CT enterography
,
クローン病
,
便中カルプロテクチン
Keyword:
活動性小腸病変
,
バルーン小腸内視鏡
,
CT enterography
,
クローン病
,
便中カルプロテクチン
pp.276-278
発行日 2017年5月20日
Published Date 2017/5/20
DOI https://doi.org/10.19020/INT.0000000064
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炎症性腸疾患(IBD)の診断あるいは疾患活動性モニタリングは,下痢や腹痛などの臨床症状を中心として,CRP を含む血液・生化学検査とX 線造影検査や内視鏡検査などの画像検査により行われる.これに加えて,欧米ではすでに10 年ほど前から,糞便の中に含まれる物質をバイオマーカーとして測定することで腸管炎症を評価する方法が導入され,現在では一般化している.この代表格がカルプロテクチンであり,リンパ球を除く好中球,単球/マクロファージなどの白血球の細胞質に含まれるカルシウムおよび亜鉛結合性の抗菌蛋白である.糞便中に含まれるカルプロテクチン(fecal calprotectin;FC)の量は,炎症を起こした腸管壁に侵入した炎症細胞量を表し,内視鏡や組織所見とも相関するだけではなく,寛解状態の患者におけるFC 値の上昇は臨床的再燃の予測因子になることも報告されている1).本邦では,年々患者数が増加し,また,適切な疾患活動性モニタリングによる治療の最適化が予後改善に結びつくとする“Treat-to-Target”の診療概念が臨床現場に導入されてきており,内視鏡と比較し侵襲性がなく簡便なFC の測定は,IBD 診療の重要なモニタリング法になることが期待される.
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