特集 腸内細菌をめぐって
Ⅱ.炎症性腸疾患と腸内細菌(1)炎症性腸疾患の病態における腸内細菌の役割
水野 慎大
1
,
金井 隆典
1
1慶應義塾大学医学部内科学(消化器)
キーワード:
炎症性腸疾患
,
腸内細菌叢
,
疾患感受性遺伝子
,
Clostridium 属細菌
,
プロバイオティクス
Keyword:
炎症性腸疾患
,
腸内細菌叢
,
疾患感受性遺伝子
,
Clostridium 属細菌
,
プロバイオティクス
pp.301-305
発行日 2017年7月20日
Published Date 2017/7/20
DOI https://doi.org/10.19020/INT.0000000073
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次世代シークエンサーによる遺伝子解析技術の進歩によって,ヒトと共生する腸内細菌叢とさまざまな疾患の病態の関わりについての研究が進められてきた.従来は腸管免疫が炎症性腸疾患の病態の中心と考えられてきたが,これらの研究の進展によって腸内細菌そのものが腸管免疫の病態に影響を与えていることが明らかになってきた.炎症性腸疾患の疾患感受性遺伝子と腸内細菌が密接に関係していることや,炎症性腸疾患患者では腸内細菌叢が攪乱されていることも示されたことで,攪乱された腸内細菌叢(dysbiosis)の正常化が新たな治療戦略として注目されつつある.現時点では,炎症性腸疾患治療としての腸内細菌叢の正常化には限界があるが,今後のさらなる研究の発展によってこれまでとまったく異なる治療戦略の開発が期待されている.
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