特集 注目すべき高齢者の腹部救急疾患診療
3.外科の視点から(1)高齢者における急性胆囊炎の外科治療
青木 優
1
1国際医療福祉大学市川病院消化器外科
キーワード:
急性胆囊炎
,
高齢者
,
耐術評価
,
回避手術
,
胆囊亜全摘
Keyword:
急性胆囊炎
,
高齢者
,
耐術評価
,
回避手術
,
胆囊亜全摘
pp.425-433
発行日 2025年3月20日
Published Date 2025/3/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000003408
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日本はかつてない高齢社会を迎え,それに伴い高齢者における急性胆囊炎も増加している.急性胆管炎・胆囊炎診療ガイドラインである「Tokyo Guideline 2018」(TG18)では,耐術と判断したら,発症からの経過時間にこだわらず,早期に手術を行うことが推奨されている.しかし高齢者は,併存疾患が多く耐術能がしばしば低下している.さらに高齢者は,右上腹部痛(右季肋部痛),Murphy’s signや発熱などの急性胆囊炎に典型的な症状に乏しいため,診断まで時間を要することが多い.そのため,経時的に炎症による組織の線維化・瘢痕化が進み,胆道損傷の危険性を伴うようになる.手術が困難な場合,危険に対する「回避手術」を選択することで,腹腔鏡下胆囊摘出術を完遂できる.

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