連載 消化器内科医が知っておくべき低侵襲手術
第4回 結腸・直腸癌に対する低侵襲手術
金光 幸秀
1
,
加藤 岳晴
1
,
永田 洋士
1
,
高見澤 康之
1
,
森谷 弘乃介
1
,
塚本 俊輔
1
1国立がん研究センター中央病院大腸外科
キーワード:
結腸癌
,
直腸癌
,
低侵襲手術
Keyword:
結腸癌
,
直腸癌
,
低侵襲手術
pp.116-120
発行日 2024年12月20日
Published Date 2024/12/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000003327
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近年,大腸癌に対する低侵襲手術(minimally invasive surgery;MIS)は目覚しい進歩を遂げている.腹腔鏡手術(laparoscopic surgery;LAP)では,洗練された最新の器具と体内に収まる極小カメラのおかげで,外科医は小さな切開創で手術を行うことができ,手術部位を拡大して見ることができるようになった.さらに進歩したロボット手術(ROB)により,3D画面で手術部位を見ながら1本のロボットアームで複数の手術器具を操作できるようになった(図1).しかし大腸癌に対するMISが,従来からのスタンダード手術である開腹手術(OP)と比べて長期予後が向上したというランダム化比較試験(RCT)の報告は一つもない.直腸癌に対するLAPでも,短期的には良好な術後成績を示したが,最近のRCTでは腫瘍学的安全性に関してOPに対する非劣性を証明することはできていない.直腸癌におけるメタアナリシスの結果では,個々の直腸癌切除術には長所と短所があり,ある術式を他の術式よりも選択するための決定的な要因はないことが示唆されている.本稿では,結腸・直腸癌に対するMIS治療について,世界的に行われてきた代表的な臨床研究を概観しながら解説する.
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