特集 自己免疫性肝疾患とICI(免疫チェックポイント阻害薬)による肝障害
1.自己免疫性肝疾患(5)原発性硬化性胆管炎(PSC)の諸問題
藤澤 聡郎
1
,
福間 泰斗
1
,
池村 宗朗
1
,
冨嶋 享
1
,
石井 重登
1
,
伊佐山 浩通
1
1順天堂大学大学院医学研究科消化器内科学教室
キーワード:
原発性硬化性胆管炎(PSC)
,
炎症性腸疾患
,
経口胆道鏡
,
small-duct PSC
,
隠れPSC
Keyword:
原発性硬化性胆管炎(PSC)
,
炎症性腸疾患
,
経口胆道鏡
,
small-duct PSC
,
隠れPSC
pp.1271-1278
発行日 2024年8月20日
Published Date 2024/8/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000003197
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原発性硬化性胆管炎(PSC)は確立した治療法がないという最大の問題点以外にも,診療においていくつかの解決していない問題を抱えている.まず診断に関して,現在の診断基準ではERC像以外での胆管所見の評価が難しい,small-duct PSCの診断ができない,小児患者において血清ALP値が診断の役に立たない,炎症性腸疾患合併の重要性が低いなどの問題がある.重症度の診断基準がなく経口胆道鏡所見が病期と相関する可能性があり,治療薬の開発に関しては肝予後の評価を可能とするエンドポイントの開発が必要である.その他にも,内視鏡治療はステント留置のタイミング,肝移植は胆管癌併存症例の治療適応などが問題であり,抗インテグリンαvβ6抗体などの疾患特異抗体は「隠れPSC」を発掘する契機になる可能性がある.
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