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第7章 肝・胆・膵
[原発性硬化性胆管炎]原発性硬化性胆管炎における抗インテグリンαvβ6自己抗体の発見とその意義
桒田 威
1
,
吉田 裕幸
2
,
塩川 雅広
1
1京都大学大学院 医学研究科消化器内科学
2関西電力病院 消化器・肝胆膵内科
キーワード:
原発性硬化性胆管炎(PSC)
,
インテグリン
,
自己抗体
Keyword:
原発性硬化性胆管炎(PSC)
,
インテグリン
,
自己抗体
pp.642-646
発行日 2024年9月1日
Published Date 2024/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika134_642
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Summary
・原発性硬化性胆管炎(PSC)は,肝内外の胆管に線維性狭窄を生じる進行性の胆汁うっ滞性肝疾患である.
・原因が不明であるため,特異的な診断マーカーが存在せず診断に難渋することが少なくない.また,肝移植以外に有効な治療法が確立されておらず,移植後の再発もあるため予後不良の難治性疾患である.
・本研究により,PSC患者の多くが抗インテグリンαvβ6自己抗体を有することが明らかとなり,新たな診断バイオマーカーの可能性を示した.
・本抗体は,胆管上皮細胞に発現するインテグリンαvβ6とフィブロネクチンの結合を阻害することでPSCの病態にも関与している可能性が示唆された.
・本研究は,PSCの診断と病態解明に新たな光明を与える成果であり,今後のさらなる研究の進展が期待される.
© Nankodo Co., Ltd., 2024