特集 膵癌の早期診断 ―診療ガイドラインの改訂を踏まえて
4.膵癌スクリーニングの可能性 ― 早期診断に向けて(3)地域発の膵癌早期診断プロジェクト
清水 晃典
1
,
花田 敬士
1
,
田妻 進
1
1JA尾道総合病院消化器内科
キーワード:
病診連携
,
膵癌早期診断
,
EUS
Keyword:
病診連携
,
膵癌早期診断
,
EUS
pp.158-164
発行日 2023年1月20日
Published Date 2023/1/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000002508
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近年,膵癌早期診断を目的に病診連携を生かした地域医療圏における取り組みが報告されている.尾道市医師会では,2007年から中核施設と診療所が協働で,膵癌早期診断プロジェクトを展開している.日本膵臓学会から発刊された「膵癌診療ガイドライン」に記載された危険因子を有する患者を中心に,診療所において積極的にUSを施行している.尾道市では,特定健診のがん検診USが安価に施行可能で,行政の協力も得ながら膵管拡張や膵囊胞性病変を認めた場合,中核施設へMRI (MRCP),EUSを目的とした紹介を行っている.また経過観察例では中核施設と診療所が役割を分担して定期的な検査を行っている.その結果Stage 0,Ⅰ膵癌の診断件数の増加,外科的切除率の改善,5年生存率の向上などの成果が現れている.現在,大阪市北部,岸和田市,松江市,和歌山県,大阪狭山市など国内の他の地区でも危険因子に着目した同様の取り組みが開始されており,尾道地区と同様の成果が報告されている.膵癌早期診断の実現には,微小膵癌の臨床像,病理組織像,診断アルゴリズムの理解とともに,医師以外の他職種への啓発および連携,中核施設と地域医療圏の連携構築が重要であると考える.
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