特集 高齢者の消化器疾患 ― 適切な診断法と治療法を目指して
7.大腸憩室症(憩室出血,憩室炎)
星本 相理
1
,
大森 順
1
,
貝瀬 満
1
,
岩切 勝彦
1
1日本医科大学付属病院消化器・肝臓内科
キーワード:
内視鏡的止血術
,
最近出血した兆候
,
Hinchey分類
Keyword:
内視鏡的止血術
,
最近出血した兆候
,
Hinchey分類
pp.175-182
発行日 2022年1月20日
Published Date 2022/1/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000002089
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憩室とは,腸管壁の一部が膨隆し外側に囊状に突出した状態である.全消化管に発生しうるが,本稿では大腸憩室症と,合併症である憩室出血,憩室炎について概説する.近年の食の欧米化や高齢化により,本邦でも大腸憩室症(憩室出血,憩室炎)を診療する機会が増加しており,2017年12月に「大腸憩室症(憩室出血・憩室炎)ガイドライン」が発刊され1),臨床上重要な疾患となってきている.大腸憩室出血は急性発症の無痛性血便が特徴であり,しばしば早急な対応が必要となる.近年,EBL (endoscopic band ligation)によるバンド結紮術の有効性が報告されており,内視鏡的止血術の主流になりつつある.大腸憩室炎は下腹部痛と発熱が主症状であり,診断や重症度分類はCTでなされることが多い.膿瘍・穿孔などの合併の有無やその程度により,ドレナージや手術などの侵襲的治療が考慮される.
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