特集 胆管癌診療の現況
11.放射線療法
山崎 秀哉
1
1京都府立医科大学放射線科
キーワード:
IMRT
,
定位照射
,
粒子線治療
,
小線源治療
,
オリゴ転移
Keyword:
IMRT
,
定位照射
,
粒子線治療
,
小線源治療
,
オリゴ転移
pp.1441-1452
発行日 2021年9月20日
Published Date 2021/9/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000001973
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胆道癌に対する放射線療法は古くより行われてきたが,薬剤など他治療法の進展に伴い,相対的にエビデンスに乏しい状況にあり,内部照射(小線源治療)等は行われることが少なくなった.周辺臓器の有害事象を避けるために,外照射の総線量は約50 Gy/25回程度に制限され,腺癌の放射線治療に十分な線量ではなく,日本の多施設症例集積研究では,放射線治療単独の生存期間中央値は13カ月,化学放射線療法で15~16カ月程度だった.最近,高精度放射線治療が普及し,定位照射や強度変調放射線治療,さらには粒子線治療が行われるようになり,有害事象を軽減しつつ高線量投与が可能となり,肝内・肝門部などでは良好な成績も報告されるようになってきた.今後,新規薬剤に高精度放射線治療を加えた集学的治療のエビデンス集積が期待される.さらに緩和照射の概念が変化しており,小数遠隔転移巣(オリゴ転移)への定位照射も保険適用となった.補助治療としても欧米では,切除不能例はもちろん,切除可能例であっても切除断端陽性例やリンパ節転移を有する症例に関しては,化学放射線療法が標準治療の一つである.国内の多施設症例集積研究では,術後照射例の生存期間中央値は31カ月であった.さらに,R0切除率の向上を目指して術前の化学放射線療法も研究されている.
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