これ一冊ですべてわかる消化器超音波検査
Ⅲ 胆膵領域 ⑤ 膵囊胞性腫瘤診断における超音波検査の役割
大野 栄三郎
1
,
川嶋 啓揮
2
,
石川 卓哉
1
,
藤城 光弘
1
1名古屋大学大学院医学系研究科消化器内科学
2名古屋大学医学部附属病院光学医療診療部
キーワード:
造影EUS
,
IPMN
,
MCN
,
SN
,
SPN
Keyword:
造影EUS
,
IPMN
,
MCN
,
SN
,
SPN
pp.1050-1056
発行日 2020年8月7日
Published Date 2020/8/7
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000001280
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膵囊胞性腫瘤は,病理形態学的に上皮による裏打ちを有する真性囊胞と上皮の裏打ちを有さない仮性囊胞に分類される.上皮性囊胞は大きく炎症性囊胞と腫瘍性囊胞に分けられる.膵囊胞は近年の画像診断の進歩により無症状で診断される症例が増加している.膵囊胞の頻度についてはMRI を用いた研究において10~45.9%と報告され,報告により頻度に幅はあるものの比較的頻度の高い疾患である.膵囊胞を対象とした観察研究において膵囊胞,とくに膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)は膵囊胞性病変自体の悪性化に加え,囊胞性病変以外の膵内に通常型膵癌が発症する頻度が高いと報告され,膵癌診療ガイドラインにおいても,膵囊胞,IPMNは膵癌の危険因子として注目されている.膵囊胞は初回診断時における悪性度評価に加え,その後の膵囊胞の悪性化,膵囊胞以外の膵実質における膵癌の発生をも念頭に置いた経過観察が重要であり,詳細な画像診断能および長期経過観察を見越した繰り返し施行する検査としての高い忍容性も必要となる.
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