特集 肝と免疫2019
2.自己免疫性肝炎(2)自己免疫性肝不全の実態
持田 智
1
1埼玉医科大学消化器内科・肝臓内科
キーワード:
急性肝不全
,
劇症肝炎
,
副腎皮質ステロイド
,
肝移植
Keyword:
急性肝不全
,
劇症肝炎
,
副腎皮質ステロイド
,
肝移植
pp.487-493
発行日 2019年4月20日
Published Date 2019/4/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000735
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自己免疫性肝炎は慢性肝疾患として経過して,ACLF(acute‒on‒chronic liver failure)ないしchronic decompensation として肝不全に陥る場合がある.しかし,このタイプの肝不全は,慢性肝疾患の成因を正確に診断し,副腎皮質ステロイドを導入することで予防可能である.臨床的に問題となるのは急性発症型の自己免疫性肝炎である.また,厚生労働省の全国調査では,自己免疫性の急性肝不全と遅発性肝不全(LOHF)が増加傾向にあり,昏睡型の症例はとくに予後不良であることが判明している.自己免疫性の症例は薬物性ないし成因不明例との鑑別が困難であるが,適切に診断して早期に副腎皮質ステロイドの大量静脈投与を行えば,予後の向上が期待できる.
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