Japanese
English
特集 自己免疫性肝疾患――いま何が問題となっているのか?
自己免疫性肝炎
-――急性肝不全の隠れた成因?
Autoimmune hepatitis as a possible cause of acute liver failure
柿坂 啓介
1
,
黒田 英克
1
,
松本 主之
1
Keisuke KAKISAKA
1
,
Hidekatsu KURODA
1
,
Takayuki MATSUMOTO
1
1岩手医科大学内科学講座消化器内科分野
キーワード:
急性肝不全
,
自己免疫性肝炎(AIH)
,
急性肝炎様発症(AP)
,
急性肝炎期
,
急性増悪期
Keyword:
急性肝不全
,
自己免疫性肝炎(AIH)
,
急性肝炎様発症(AP)
,
急性肝炎期
,
急性増悪期
pp.1053-1056
発行日 2022年12月17日
Published Date 2022/12/17
DOI https://doi.org/10.32118/ayu283111053
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自己免疫性肝炎(AIH)は,自己抗体陽性・IgG高値と病理学的な慢性活動性肝炎を特徴とし,肝硬変に進展しうる疾患とされている.しかし,一部の症例はAIHの既往や慢性肝障害を示唆する臨床所見を欠如し,あたかも急性肝炎様の経過で発症することがある.このような症例は,いわゆる “急性肝炎様発症(AP)” のAIH(AP-AIH)とよばれる.AP-AIHの組織所見は,①慢性肝炎の変化を有する急性増悪期と,②慢性肝炎の変化がない,あるいは軽微にとどまる急性肝炎期に大別される.これらのうち,急性肝炎期症例の一部は血清学的に自己抗体陰性,IgG基準範囲内を呈し診断に苦慮することになる.さらに,AP-AIHの臨床像は他の急性肝不全のそれと重複することも少なくない.このように,成因不明の急性肝不全には,診断困難なAIHが一定数含まれていることに留意すべきと考えられる.
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