特集 腸内細菌と臨床
1 .腸内細菌と消化器疾患(4)腸内細菌と炎症性腸疾患
大草 敏史
1
1順天堂大学大学院腸内フローラ研究講座、東京慈恵会医科大学附属柏病院消化器・肝臓内科
キーワード:
腸内細菌叢
,
炎症性腸疾患
,
メタゲノム法
,
腸内細菌叢の乱れ
Keyword:
腸内細菌叢
,
炎症性腸疾患
,
メタゲノム法
,
腸内細菌叢の乱れ
pp.1335-1345
発行日 2017年8月20日
Published Date 2017/8/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000100
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自然免疫系の解明により,腸管炎症に対する腸内細菌の役割が注目されるようになった.そして炎症性腸疾患(IBD)は腸内細菌感染症ではないかともいわれてきている.近年,細菌DNAを解析する方法が開発され,膨大な腸内細菌からIBD の原因菌や菌群を探索するといったことが行われてきた.16S rRNA のメタゲノム解析においてIBD では腸内細菌叢の乱れ(dysbiosis)があり,Firmicutes 門のLactobacillus 属やFaecalibacterium parausnitzii,Roseburia hominisとActinobacteria 門のBifidobacterium 属が減少し,Proteobacteria 門のEnterobacteriaceae,硫酸還元細菌やBacteroidetes 門のBacteroides属が増加していたという報告が多い.このdysbiosis は高脂肪食(動物性,植物性)や肉食(鉄分)の負荷でも共通に認められることから,IBD に対する脂肪や肉食制限といった食事指導が治療の一助となるとも考えられる.
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