特集 腸内細菌と臨床
1 .腸内細菌と消化器疾患(1)腸内細菌の生理的役割―正常と異常の違いは
井上 亮
1
,
安藤 朗
2
1京都府立大学大学院動物機能学研究室
2滋賀医科大学医学部消化器内科
キーワード:
腸内細菌叢
,
感染防御
,
恒常性維持
,
代謝
Keyword:
腸内細菌叢
,
感染防御
,
恒常性維持
,
代謝
pp.1313-1318
発行日 2017年8月20日
Published Date 2017/8/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000097
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腸内細菌叢は,① 病原体からの感染防御,② 腸管構造/機能の恒常性維持や免疫系の刺激・調節,③ ビタミン合成や未消化残渣の利用によるエネルギーの再活用といった大きな三つの機能を通してヒトとの共生関係を築いている.共生関係のバランスが崩れると,これらの機能はヒトにとって有害な側面をみせるようになり,さまざまな疾病の発症につながる.また,腸内細菌叢の構成は,年齢,地域(国)で大きく異なる.つまり,腸内細菌叢の変化を考えるとき,年齢や地域を考慮した評価が必要と考えられる.今後,細菌叢の構成の変化に加えその機能変化も考慮した研究の展開が必要と考えられる.さらに,糞便のみならず,粘膜付着細菌叢の解析が必要と思われる.
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