特集 透析患者の皮膚を守る カラーでみる
2.日常診療で遭遇する皮膚疾患(7)カルシフィラキシス
林 松彦
1
1河北総合病院臨床教育・研修部
キーワード:
カルシフィラキシス
,
ワルファリン
,
チオ硫酸ナトリウム
Keyword:
カルシフィラキシス
,
ワルファリン
,
チオ硫酸ナトリウム
pp.172-176
発行日 2025年2月10日
Published Date 2025/2/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000003309
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カルシフィラキシスは,おもに透析患者に発症する,難治性で重度の疼痛を伴う皮膚潰瘍性病変である.軀幹,四肢,陰部に多発性に発症し,四肢末端に発症した場合,とくに糖尿病性壊疽との鑑別が非常に困難である.症例の半数以上はワルファリン服用中で,肥満,カルシウム・リン代謝調節不良なども発症因子として報告されている.確定診断は,臨床像と,患部の病理像,小動脈の中膜石灰化,内膜肥厚に基づく細胞・組織障害,壊死により行われるが,国際的な診断基準はない.治療は,病巣のdebridement,感染を伴う場合には抗生剤投与などの補助療法が行われ,ステロイド剤は無効である.チオ硫酸ナトリウム投与が試されていたが,最近は,無効であるという報告が多い.本邦での症例はきわめて少なく,症例報告も減少傾向にある.
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