投稿論文 症例
非典型的な病理組織像を呈した幼児上口唇に発生した若年性黄色肉芽腫の1例
山田 萌絵
1
,
中川 雅裕
,
岡崎 孝朱
,
長谷川 梨穂
,
鈴木 伸哉
,
杉村 友紀
,
松下 友樹
,
太田 悠介
1浜松医科大学 医学部附属病院形成外科
キーワード:
黄色肉芽腫-若年性
,
口唇疾患
Keyword:
Lip Diseases
,
Xanthogranuloma, Juvenile
pp.1441-1447
発行日 2022年12月10日
Published Date 2022/12/10
DOI https://doi.org/10.18916/J00398.2023118315
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若年性黄色肉芽腫(JXG)の病理組織像は、真皮浅層から深層にかけて組織球系細胞が密に浸潤し、典型例では泡沫細胞やTouton型巨細胞がみられる。今回、泡沫細胞やTouton型巨細胞といった特徴的な所見が腫瘍深部に偏在していたために、表層のみのパンチ生検ではこれらが観察されず、全切除生検で腫瘍の最深部のみに観察された症例を経験した。症例は1歳3ヵ月の男児で、腫瘍は右上口唇白唇部から鼻腔底・鼻柱部にかけて存在し、受診時には2cm大のドーム状の腫瘤となっていた。切除術後4ヵ月の現在まで再発は認めていない。JXGの病理組織像には経時的な変化があるとされ、早期病変では均一な組織球がみられ泡沫細胞は目立たず、最盛期の病変では多くの組織球が泡沫状の細胞質を呈し、Touton型巨細胞もみられるとされている。本例における泡沫細胞やTouton型細胞の偏在は、早期病変と最盛期病変の過渡期の所見を観察していた可能性がある。
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