特集 ペット咬創への初期治療と機能・整容の改善[2]-顔面の組織欠損を伴うイヌ咬創(1)口唇-
上口唇欠損と弁状剥脱創を伴うイヌ咬創に対して瘢痕修正と遷延一次再建術を行った1例
元村 尚嗣
1
,
岩崎 理恵
,
坂原 大亮
,
嶺尾 万莉
,
出口 綾香
1大阪市立大学 大学院医学研究科形成外科学
キーワード:
イヌ
,
外科的皮膚弁
,
咬傷と刺傷
,
口唇疾患
,
人工皮膚
,
デブリードマン
,
経口投与
,
瘢痕
,
外科用スポンジ
,
Tranilast
,
Z形成術
,
口唇形成術
Keyword:
Bites and Stings
,
Surgical Flaps
,
Skin, Artificial
,
Administration, Oral
,
Lip Diseases
,
Surgical Sponges
,
Dogs
,
Debridement
,
Cicatrix
,
Tranilast
pp.251-256
発行日 2021年3月10日
Published Date 2021/3/10
DOI https://doi.org/10.18916/J00398.2021174062
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49歳女性。上口唇全層欠損を主訴とした。飼い犬に咬まれ、上口唇の約1/3に及ぶ全層欠損と頬部皮膚の弁状剥脱創を認めた。創部を洗浄後、頬部を粗く一次縫合し、上口唇部に人工真皮を貼付した。その後、良好な肉芽が形成され、受傷後25日に上口唇欠損に対する再建術と頬部trap door変形に対する修復術を施行した。術中、上口唇の肉芽による拘縮を認め、瘢痕を切除した。続いて、上口唇の欠損の大きさを確認し、左側下唇動静脈を茎とする交叉唇弁を作成した。皮弁幅を欠損の2/3とし、下口唇動静脈と口輪筋の一部を温存して全層で挙上した。採取部は茎の近傍まで単純縫縮した。頬部trap door変形は2ヶ所にZ形成術を行った。再建術後12日に皮弁切り離し術を施行し、術後はトラニラストの内服を9ヵ月間、医療用スポンジによる頬部の圧迫療法を7ヵ月間行った。術後1年6ヵ月の現在、開閉口機能は良好で、整容的・機能的に満足を得ている。
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