特集 ペット咬創への初期治療と機能・整容の改善[2]-顔面の組織欠損を伴うイヌ咬創(1)口唇-
上口唇欠損を伴うイヌ咬創に対しサブユニットを意識してAbbe's flapによる再建を行った1例
長坂 信司
1
,
橋本 一郎
1徳島大学 医歯薬学研究部形成外科学分野
キーワード:
Triamcinolone Acetonide
,
イヌ
,
外科的皮膚弁
,
咬傷と刺傷
,
口唇疾患
,
洗浄療法
,
多剤併用療法
,
注射
,
経口投与
,
Tranilast
,
ハイドロコロイドドレッシング材
,
口唇形成術
,
瘢痕拘縮
Keyword:
Bites and Stings
,
Surgical Flaps
,
Administration, Oral
,
Therapeutic Irrigation
,
Lip Diseases
,
Injections
,
Triamcinolone Acetonide
,
Dogs
,
Drug Therapy, Combination
,
Bandages, Hydrocolloid
,
Tranilast
pp.257-264
発行日 2021年3月10日
Published Date 2021/3/10
DOI https://doi.org/10.18916/J00398.2021174063
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21歳女性。上口唇の欠損を主訴とした。飼い犬に咬まれ、受傷当日に前医で洗浄と被覆材の貼付が行われた。組織欠損が大きく、受傷後2日に当科紹介受診となった。上口唇中央の人中部から赤唇にかけて30×20mmの皮膚欠損を認め、口輪筋も大きく欠損していた。組織欠損の範囲が推定し難く、保存的治療を行った。外来通院で洗浄処置と被覆材の貼付を継続し、受傷後4週に上皮化を認めたが、瘢痕部に拘縮が生じた。受傷後6ヵ月に瘢痕組織は成熟して柔らかくなったが、白唇部から赤唇部にかけて瘢痕による拘縮があった。また、下口唇に比べ上口唇がボリューム不足であった。Abbe's flapにより下口唇を用いて上口唇の赤唇部と白唇部を再建した。術後、再建した赤唇部外側と白唇部頭側の移植皮弁に僅かな余剰組織を認め、術後5ヵ月に修復術を行った。初回手術後7ヵ月の現在、瘢痕は目立たず、形態・機能ともに良好である。
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