発行日 2006年1月1日
Published Date 2006/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2006105267
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4歳女児.ベビーベッドで左中指をはさんだ.発赤と腫脹が続き,受傷5日後に他医を受診した.単純X線像に異常はなかった.その後,爪甲部が自壊して滲出液を認めるようになり,爪下膿瘍と診断された.抗生物質投与では症状の改善はみられなかった.左中指末節部に軽度の発赤と腫脹,及び爪甲の盛り上がりを認めた.単純X線像に異常所見はなかった.感染は消退しつつあると考えられたが,再び滲出液が出現した.切開を行ったところ爪下には黄色の腫瘤性病変がみられ,HE染色標本で組織球の増生に加えてTouton型多核巨細胞の増生を認めた.若年性黄色肉芽腫と診断し,受傷から約3ヵ月後に手術を行った.黄褐色の腫瘤は爪床下に存在し,周囲組織と軽度に癒着していた.腫瘤と癒着組織を一塊として切除し,爪郭にシリコンプレートを挿入して縫合固定した.術後10ヵ月現在,爪甲の軽度の陥凹を認めるが爪の形態は概ね良好であり,再発は認められない
©Nankodo Co., Ltd., 2006