特集 ペット咬創への初期治療と機能・整容の改善[2]-顔面の組織欠損を伴うイヌ咬創(1)口唇-
上口唇の欠損を伴うイヌ咬創の2例
中嶋 優太
1
,
杠 俊介
1信州大学 医学部医学科形成再建外科学教室
キーワード:
イヌ
,
外科的皮膚弁
,
咬傷と刺傷
,
口唇疾患
,
口唇形成術
,
瘢痕拘縮
,
瘢痕拘縮形成手術
Keyword:
Bites and Stings
,
Surgical Flaps
,
Lip Diseases
,
Dogs
pp.273-278
発行日 2021年3月10日
Published Date 2021/3/10
DOI https://doi.org/10.18916/J00398.2021174066
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症例1は38歳男性で、口唇の変形を主訴とした。飼い犬に口唇を咬まれ、前医で縫合処置を受け、受傷後10日に当科に紹介された。赤唇と白唇の縫い違いと組織欠損を認め、受傷後1ヵ月に瘢痕拘縮の解除と切除を行い、受傷当時と同様の状態まで解体を行った。赤唇にも欠損があったが、赤唇を縫縮したところ、白唇の欠損が更に大きいことが判明し、手術を中止した。半年後、赤唇線は整ったが、赤唇の左右差が目立ち、右上口唇の組織不足により人中が右へ変位した。症例2は50歳女性で、口唇の欠損を主訴とした。飼い犬に咬まれ、左の白唇、赤唇及び口輪筋の欠損を認めた。洗浄後、開放創で軟膏処置とし、受傷後7日に再建術を施行した。手術は鼻唇溝領域の皮膚を前進皮弁とし、口角の外側でBurow三角を切除することで白唇を再建するデザインとした。皮弁の先端に口角部の赤唇を付属させ、欠損部の赤唇再建に用いた。術後6ヵ月の現在、形態・機能とも良好である。
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