特集 ペット咬創への初期治療と機能・整容の改善[2]-顔面の組織欠損を伴うイヌ咬創(1)口唇-
上口唇欠損を伴うイヌ咬創に対して二次治癒後に瘢痕形成術を行った1例
福田 憲翁
1
,
菅 剛史
,
矢野 亜希子
,
曽根田 寛幸
,
岩上 明憲
1山形大学医学部附属病院 形成外科
キーワード:
イヌ
,
咬傷と刺傷
,
口唇疾患
,
洗浄療法
,
デブリードマン
,
瘢痕-肥厚性
,
ガーゼ
,
口唇形成術
,
瘢痕拘縮形成手術
Keyword:
Bites and Stings
,
Cicatrix, Hypertrophic
,
Therapeutic Irrigation
,
Lip Diseases
,
Dogs
,
Debridement
pp.269-272
発行日 2021年3月10日
Published Date 2021/3/10
DOI https://doi.org/10.18916/J00398.2021174065
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50歳女性。上口唇のイヌ咬創を主訴とした。飼い犬に上口唇を咬まれ、前医で応急処置を受けた。抗生物質の内服薬が処方され、2日後に当科紹介受診となった。創部にフィルムドレッシングが施されていたが、密閉されておらず、滲出液が漏れ出ていた。上口唇左側に組織欠損を伴う咬創を認め、洗浄と壊死組織の除去を行い、抗生剤含有軟膏による保存的治療を開始した。創部を含めた洗顔を指導し、ドレッシング材はガーゼを用いた。受傷後25日に創部が閉鎖したため、保湿と遮光により瘢痕の成熟を促した。しかし、組織の腫脹が消退し引き締まってくるに従い、拘縮が生じ、創閉鎖後6ヵ月に瘢痕拘縮形成術を施行した。手術は瘢痕を形に沿って直線基調で全切除した後、長さを合わせるため口唇粘膜も全層で切除し、dog earを修正しつつ単純縫合した。抜糸後はテーピングによる減張を約6ヵ月間行った。術後10ヵ月の現在、形態・機能ともに良好である。
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