特集 診断と治療に難渋した皮膚潰瘍
腰部に生じ長期の治療期間を要した心臓カテーテル治療後放射線潰瘍の1例
木原 昂紀
1
,
林 礼人
1順天堂大学 医学部形成外科
キーワード:
バルーン冠動脈形成術
,
心臓カテーテル法
,
鑑別診断
,
デブリードマン
,
皮膚潰瘍
,
腰仙部
,
冠血管造影
,
長期療養
,
狭心症-労作性
,
放射線潰瘍
Keyword:
Skin Ulcer
,
Long-Term Care
,
Coronary Angiography
,
Angioplasty, Balloon, Coronary
,
Lumbosacral Region
,
Debridement
,
Diagnosis, Differential
,
Cardiac Catheterization
pp.677-685
発行日 2022年6月10日
Published Date 2022/6/10
DOI https://doi.org/10.18916/J00398.2022224305
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80歳女性。心臓カテーテル治療後に腰部に紅斑が出現し、近医の皮膚科でステロイド外用剤による治療を受けるも改善せず、当科へ紹介となった。初診時、腰部正中のやや左側よりに80×75mm大の潰瘍が認められた。臨床経過や既往歴より患者は8年前に腰部脊柱管狭窄症に対する手術歴を有し、3年前からは複数回の心臓カテーテル治療が行われていたことが判明した。また、冠動脈病変の状況からRAO cranialでの放射線照射の時間が長い状況であったことも確認された。以上、これらの所見を踏まえて、本症例は放射線潰瘍と診断され、デブリードマンおよび潰瘍切除術を行い、術後6週で皮弁移植による再建術が施行された。だが、潰瘍は改善せず、2回目手術から6週間後に回転皮弁による再建術を追加した。その結果、術後は皮弁下の漿液腫が生じたが、OK-432局所注入を3回実施することで創の完全閉鎖が得られた。術後5年経過現在、潰瘍の再発はみられていない。
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