特集 診断と治療に難渋した皮膚潰瘍
結核の診断に至った胸壁皮膚瘻孔の1例
大槻 仁志
1
,
川村 達哉
,
久島 英雄
,
保坂 典子
1諏訪赤十字病院 形成外科
キーワード:
Ethambutol
,
Isoniazid
,
PCR法
,
Rifampicin
,
胸部外科
,
結核-皮膚
,
デブリードマン
,
皮膚潰瘍
,
皮膚瘻
,
細菌培養
,
胸壁
Keyword:
Ethambutol
,
Skin Ulcer
,
Tuberculosis, Cutaneous
,
Cutaneous Fistula
,
Isoniazid
,
Polymerase Chain Reaction
,
Rifampin
,
Debridement
,
Thoracic Surgical Procedures
,
Thoracic Wall
pp.672-676
発行日 2022年6月10日
Published Date 2022/6/10
DOI https://doi.org/10.18916/J00398.2022224304
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91歳女性。左乳房の腫瘤を自覚し近医を受診後、精査治療目的で当院の乳腺外科へ紹介となった。初診時、左乳房BD領域に発赤、疼痛を伴う皮下腫瘤が触知され、切開排膿処置が行われたが、皮膚切開部からの排膿は続き、洗浄や軟膏処置が行われるも改善せず、難治性を示したため、形成外科へ紹介となった。所見では左乳房下溝線に皮膚瘻孔が認められ、胸部CT所見より慢性肋軟骨炎に伴う難治性潰瘍が疑われた。全身麻酔下で病巣摘出術を行ったところ、病理組織学的に瘻孔部分には類上皮肉芽腫の形態をしており、抗酸菌感染症と考えられる所見であった。問診により兄弟が結核罹患歴があることも踏まえて、本症例は最終的に結核と診断され、治療として術後3ヵ月よりリファンピシン、イソニアジド、エタンブトールによる化学療法が行われた。その結果、術後10ヵ月で皮膚瘻孔の再発なく、良好に経過している。
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