特集 美容医療の合併症から学ぶ[3]-乳房増大術ほか-
乳房と殿部に埋入していたシリコンラバースレッド除去を行った1例
野本 俊一
1
,
安藤 有佳利
,
山岡 秀司
,
泉 日輝
,
平川 慶子
,
小川 令
1日本医科大学附属病院 形成外科・再建外科・美容外科
キーワード:
Dimethylpolysiloxanes
,
シリコンエラストマー
,
術後合併症
,
X線CT
,
殿部
,
乳房疾患
Keyword:
Silicone Elastomers
,
Tomography, X-Ray Computed
,
Postoperative Complications
,
Dimethylpolysiloxanes
,
Breast Diseases
,
Buttocks
pp.570-575
発行日 2020年5月10日
Published Date 2020/5/10
DOI https://doi.org/10.18916/J00398.2020276489
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50歳女。乳房と殿部の瘢痕修正を主訴とした。瘢痕は10年前に中国で乳房および殿部の下垂予防の目的で吊り上げ糸のようなものを留置した時の挿入部位に相当し、3DCTでは乳腺や大臀筋を貫通する高吸収域を呈する索状陰影を認め、埋入牽引糸の存在が疑われた。全身麻酔下に摘出手術を行ったところ、瘢痕直下に比較的太く棘状で、シリコンラバーのような性状の牽引糸を認めたため、可能な限り糸を摘出し、瘢痕修正も兼ねて皮膚切開部を丁寧に縫合した。なお、摘出した糸の主成分はシリコン系化合物のdimethylpolysiloxaneであることが確認された。乳房もしくは殿部のリフトアップ目的にシリコンの糸で引き上げる施術の報告は殆どなく、また、自験例では糸が大臀筋の筋体や乳房の乳腺組織を貫通しており、適正な使用法とは考えにくいと思われた。
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