特集 子宮頸がん予防の最前線
1.わが国および世界の子宮頸がんの疫学的推移
水島 大一
1
T. Mizushima
1
1横浜市立大学医学部産婦人科(准教授)
pp.945-952
発行日 2025年10月1日
Published Date 2025/10/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000003533
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わが国における2021年の子宮頸がん罹患数は10,690例,死亡数は2,894例であった。30代以降の幅広い世代で罹患が認められる。上皮内がんを含めた罹患数は35,263例で性成熟期の罹患が多いが,死亡率は高齢層で高い。罹患率は1980年代以降は高齢層で減少する一方で,近年では若年から中年層でわずかに増加傾向が認められる。全世界の2020年の子宮頸がん罹患数は約60万例,死亡数は約34万例と推計されている。低・中所得国の死亡率は高所得国の約18倍に上り,死亡者の85%がそれらの国に集中する。英米オーストラリアなど検診やHPVワクチンが普及した国では罹患率が低下し,オーストラリアでは2028年に排除を達成する見込みである。一方,多くの低所得国では対策が進まず,人口増加と高齢化により2030年には全世界の罹患数は76万例に増加すると予測されている。わが国も含めて引続きワクチン接種・検診・治療の対策強化が急務である。

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