Japanese
English
特集 HPVワクチンと子宮頸がんHPV1次検診
日本と世界の子宮頸がんの現状
Cervical Cancer
――Japan and the World Today
榊原 敦子
1
,
中山 健夫
2
,
伊藤 ゆり
3
Atsuko SAKAKIBARA
1
,
Takeo NAKAYAMA
2
,
Yuri ITO
3
1田附興風会医学研究所北野病院健診部
2京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻健康情報学
3大阪医科薬科大学研究支援センター医療統計室
キーワード:
ヒトパピローマウイルス(HPV)
,
子宮頸がん予防ワクチン
,
組織型がん検診
,
周産期医療
,
リプロダクティブ・ヘルス
Keyword:
ヒトパピローマウイルス(HPV)
,
子宮頸がん予防ワクチン
,
組織型がん検診
,
周産期医療
,
リプロダクティブ・ヘルス
pp.745-753
発行日 2022年2月12日
Published Date 2022/2/12
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28007745
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世界のがんの罹患・死亡動向はがん対策とともに変遷し,先進諸国では喫煙・感染症関連がんは減少傾向を示している.子宮頸がんはハイリスク型ヒトパピローマウイルス(HPV)の持続感染により発症することが知られている.一次予防として “子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)”,二次予防として “子宮頸がん検診” により予防可能であるが,途上国を中心として子宮頸がんが増加している.WHO(世界保健機関)は,国家間の子宮頸がん罹患率の格差が拡大していることを世界の公衆衛生上の問題と捉え,2019年1月,子宮頸がん根絶に向けた世界的戦略を策定した.一方,日本のHPVワクチン接種率は世界でも最低位国のひとつであり,がん検診受診率についても先進国のなかできわだって低い.かつて日本では子宮頸がんの罹患と死亡は閉経後女性が中心であると考えられていた.しかし近年,若年女性における子宮頸がんとその前がん病変の罹患増加が著しい.わが国における子宮頸がん対策の遅れは女性の生命を奪い,quality of life(QOL)を損なうだけでなく,周産期医療を逼迫させ,新生児の予後にも影響するきわめて深刻な状況にある.
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