特集 図解 産婦人科医のための臨床遺伝学必修知識Ⅱ
7.バイオバンクの機能と国内外の動向
山本 英喜
1
,
平沢 晃
1
H. Yamamoto
1
,
A. Hirasawa
1
1岡山大学学術研究院医歯薬学域臨床遺伝子医療学分野
pp.915-921
発行日 2023年9月1日
Published Date 2023/9/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000002670
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個別化医療・個別化予防のゲノム医療を推進するうえでバイオバンクは必須である。バイオバンクの試料・情報を活用した種々のコホート研究から遺伝性腫瘍に関する新たな情報発信がされている。バイオバンクのシステムを活用した家系情報付き出生コホート調査の情報が蓄積されている。国内のバイオバンクでは,試料・情報の利活用推進のための横断検索システム(バイオバンク横断検索システム)が開発され利用可能である。わが国の全ゲノム解析等のゲノム医療政策では,政府方針が定められているが,バイオバンク試料・情報の集積やデータ解析,データ保存は各施設が個別に担っている。海外での全ゲノム解析等のゲノム・オミックス解析情報,健康情報,医療情報の蓄積では,政府主導による新規大規模国家プロジェクトとしてバイオバンクおよびデータ解析などの管理機関が指定される形態(例:英国のGenomics England,UK Biobankや米国のAll of Us)や,既存のバイオバンクを連携させて組織化する形態(例:北欧のデンマークやフィンランドのバイオバンク)がある。国際的なバイオバンク連携によるデータシェアリングからヒト疾患リスク遺伝子アトラスの構築など,バイオバンクは新たな知見創出の基盤となっている。
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