特集 子宮体がんup to date
8.子宮体癌の妊孕性温存療法
山上 亘
1
,
坂井 健良
1
,
青木 大輔
1
W. Yamagami
1
,
K. Sakai
1
,
D. Aoki
1
1慶應義塾大学医学部産婦人科教室
pp.1355-1360
発行日 2022年10月1日
Published Date 2022/10/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000002342
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
子宮体癌およびその前がん病変である子宮内膜異型増殖症(AEH)に対するわが国で施行可能な妊孕性温存療法は,高用量メドロキシプロゲステロン酢酸エステル(MPA)を用いたホルモン療法のみであり,その対象は画像検査上子宮内膜に限局し,筋層浸潤を伴わない類内膜癌G1までに限られる。適切な治療により良好な治療成績を得ることは可能だが,再発率も高く,ごく稀に病変進行も経験されるため,慎重な治療を心がける必要があり,安易に適応を拡大すべきではない。子宮体癌やAEHへの妊孕性温存療法は対象症例が少ないうえに,投与しない群と直接比較する臨床試験の設定が難しく,新規治療法の拡大が難しい領域であるが,わが国では2つの臨床試験が施行中であり,結果が待たれるところである。
Copyright © 2022, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.