特集 内膜を極めるⅡ—婦人科疾患の治療と内膜機能—
1.子宮内膜癌の機能温存療法
進 伸幸
1
,
山上 亘
2
,
片岡 史夫
1
,
岡田 智志
1
,
田中 宏一
1
,
青木 大輔
2
N. Susumu
1
,
W. Yamagami
2
,
F. Kataoka
1
,
S. Okada
1
,
H. Tanaka
1
,
D. Aoki
2
1国際医療福祉大学医学部産婦人科
2慶應義塾大学医学部産婦人科
pp.1129-1135
発行日 2020年11月1日
Published Date 2020/11/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001443
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
若年子宮内膜癌患者は,晩婚化,少産化などのライフスタイルの変化により近年増加傾向にある。筋層浸潤のない類内膜癌G1(G1EC)または子宮内膜異型増殖症(AEH)が妊孕性温存治療の対象であり,子宮外病変(重複がん,転移,腹腔内播種)がないこと,漿液性癌などのホルモン不応性の成分の混在のないことの確認も重要である。わが国ではメドロキシプロゲステロン酢酸エステル(MPA)のみが保険診療として用いられている。MPA投与と反復内膜全面搔爬により比較的高い病変消失率が得られているが,不応例があること,高頻度に子宮内再発がみられること,卵巣癌などの重複がん症例が数%みられることなどにも注意を要する。再発症例に対する高用量MPA療法による再治療の前方視的臨床研究が,わが国で近々に開始となる予定である。
Copyright © 2020, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.