特集 AYA世代の女性ヘルスケア―対応と実際―
Ⅳ.婦人科腫瘍・婦人科疾患への対策
1.子宮頸部病変の妊孕性温存手術
田中 恒成
1
,
岩田 卓
1
K. Tanaka
1
,
T. Iwata
1
1慶應義塾大学医学部産婦人科学教室
pp.1101-1105
発行日 2022年9月30日
Published Date 2022/9/30
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000002296
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子宮頸部病変に対する妊孕性温存手術の重要性は高まっている。子宮頸部上皮内病変(CIN)に対する蒸散術は妊娠率・周産期合併症に影響を与えないとされるものの,残存・再発率に留意すべきところがあり,長期的なフォローを要する。子宮頸部円錐切除術は組織学的情報を得られ,子宮頸癌でも脈管侵襲を認めない臨床病期ⅠA1期(FIGO 2008)であれば経過観察が検討できるが,早産率の上昇が問題となる。また,腫瘍径が2cm以下の子宮頸癌ⅠB1期(FIGO 2008)までであれば広汎子宮頸部摘出術を検討できるが,術後に妊娠するためには生殖補助医療を要することも少なくなく,早産も問題となる。子宮頸部病変の再発と妊孕性温存は手術療法の観点から相反する問題であり,生児を得るには多くの職種からなるチーム医療が重要となる。
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