臨床経験
帝王切開術中に羊水塞栓症を発症した母体死亡の1例
田尻 佐和子
1
,
西川 尚実
1
,
粟生 晃司
1
,
川村 祐司
1
,
早川 明子
1
,
中元 永理
1
,
青山 和史
1
,
荒川 敦志
1
,
尾崎 康彦
1
S. Tajiri
1
,
N. Nishikawa
1
,
K. Ao
1
,
Y. Kawamura
1
,
A. Hayakawa
1
,
E. Nakamoto
1
,
K. Aoyama
1
,
A. Arakawa
1
,
Y. Ozaki
1
1名古屋市立西部医療センター産婦人科
pp.107-112
発行日 2021年1月1日
Published Date 2021/1/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001610
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羊水塞栓症は,羊水および胎児成分が母体血中へ流入することによって引き起こされる,突然の呼吸不全および凝固異常を特徴とする妊産婦死亡の主要疾患の1つである。破水後や分娩前後の呼吸障害や循環不全を特徴とする心肺虚脱型と,非凝固性出血により産科危機的出血に至ることを特徴とする子宮型が知られている。近年,子宮型羊水塞栓症はフィブリノゲン製剤の使用などにより救命率が上昇している一方で,心肺虚脱型は治療に難渋する症例が少なくない。今回われわれは,帝王切開中に突然心肺停止となり,麻酔科管理のもと,羊水塞栓症を疑い蘇生処置するも治療に反応せず救命できなかった心肺虚脱型羊水塞栓症を経験したので報告する。
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