発行日 2004年5月1日
Published Date 2004/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2004211516
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27歳女.妊娠・発育に異常なく,満期出産で帝王切開術を施行した.翌日,突然意識消失,呼吸困難感,血圧低下を認めショック状態となった.肺動脈造影検査を施行し,急性肺塞栓症の確定診断が得られた.下大静脈フィルターを留置した後,紹介入院となった.来院時,呼吸状態悪化のため気管内挿管されていた.入院後もショック状態が持続し,外科的血栓除去術も考慮したが,帝王切開術後早期であり人工心肺使用による子宮出血が懸念されたため,保存的治療を選択した.Heparin sodium(10000単位)の持続点滴を開始し,ACTを150~180秒でコントロールした.ショックに対しカテコラミンを使用し,血圧を100mmHg以上に維持した.しかし,急性腎不全を合併し,持続的人工透析(CHDF)を開始した.その後は徐々に右心不全症状は軽減した.第5病日にはCHDFを,第7病日にはカテコラミンを中止した.第8病日には人工呼吸器を離脱し,第10病日にICUより病棟へ帰室した.第23病日に施行した肺血流シンチグラムでは,右上・下肺野および左下肺野の血流欠損像は著明に改善しており,第24病日に軽快退院となった
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