今月の臨床 初期治療60分—産科救急
血栓・塞栓
13.羊水塞栓症
徳永 直樹
1
,
金山 尚裕
1
,
寺尾 俊彦
1
1浜松医学大学産婦人科
pp.1386-1388
発行日 1995年10月10日
Published Date 1995/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902300
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羊水塞栓症はまれな産科疾患であるが,母体死亡率は60〜80%にも及ぶ.7,000〜10,000分娩に1件の頻度で発症するので文字通り“万が一”の疾患といえる.最近産科出血の治療の改普などから,羊水塞栓症がわが国では妊婦の突然死の第一の原因となっている1).したがって,妊産婦死亡を減少させるためには,羊水塞栓症の対策が重要な問題となってきている.
本症の発症機序は不明な点もあるが,基本的には羊水,羊水中の細胞,胎便などが母体血中に入り,母体肺動脈系に塞栓を引き起こし,さらに羊水に含よれるケミカルメディエーター(トリプシン,トロンボプラスチン,ロイコトリエンなど)により,肺血管の攣縮,アナフィラキシー反応,DICを引き起こすためと考えられている.
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