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胎盤表面の囊胞性病変は時折遭遇する病変であり,胎児発育不全(FGR)や胎児機能不全との関連が報告されている。2010年4月〜2019年3月の間に胎盤囊胞を認めた3例について考察を踏まえて報告する。症例1は,29歳,2妊1産。妊娠24週1日時にFGRのため紹介受診し,同日管理目的に入院。妊娠31週4日時に胎児機能不全のため緊急帝王切開術を施行,児は女児で出生体重842g,Apgarスコア7/8点であった。臍帯付着部近くに2cm大の囊胞を2つ認め,少し離れて4cm大の囊胞を認めた。病理検査では梗塞巣やフィブリン沈着が非常に多く認められた。症例2は,31歳,2妊1産。妊娠24週時よりFGRを指摘され,妊娠32週3日時に紹介受診し,同日管理目的に入院。分娩誘発により妊娠36週1日に経腟分娩となった。児は男児で出生体重1,255g,Apgarスコア8/9点であった。胎盤所見では臍帯付着部近くに3個の囊胞を認め,ほかにも4cm大の囊胞を5個認めた。病理検査では絨毛膜板下に高度な浮腫を認め囊胞を形成していた。また高度なフィブリンの析出を認め,フィブリンに取り囲まれた絨毛は梗塞に陥っていた。症例3は,37歳,2妊1産。妊娠初期より胎盤表面に囊胞性病変を認めたが,児の発育は良好であった。分娩誘発により妊娠38週2日時に経腟分娩となった。児は女児で,出生体重2,845g,Apgarスコア9/9点であった。胎盤の胎児側に90mm,80mm大の囊胞性病変を認め,病理検査でも同様の所見と軽度のフィブリン沈着が指摘された。胎盤囊胞を認めてもその経過は異なり,正常な妊娠経過をたどる症例もあった。個々の症例に応じて対応し,羊水量,児のBPS,血流などに注意をしながら至適な時期に分娩となるように管理を行うべきである。
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