特集 図解 分子メカニズムから理解する婦人科がんの薬物療法
【総論】
Ⅲ 抗悪性腫瘍薬使用時の副作用に対する対策
1.骨髄抑制,発熱性好中球減少症
進 伸幸
1
,
渋井 亮介
1
,
岡田 智志
1
,
片岡 史夫
1
N. Susumu
1
,
R. Shibui
1
,
S. Okada
1
,
F. Kataoka
1
1国際医療福祉大学医学部産婦人科
pp.1340-1348
発行日 2021年11月30日
Published Date 2021/11/30
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001944
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骨髄抑制は,免疫を担う白血球,酸素を運搬する赤血球,正常な血液凝固を担う血小板の産生が減少することを指し,がん化学療法や免疫系に影響を与える薬剤の重大な副作用である。発熱性好中球減少症(febrile neutropenia;FN)は発熱を伴う好中球減少症で,ときに重篤な感染症を引き起こし死に至ることもある病態であり,特にがん化学療法においては注意すべき副作用の1つとなる。顆粒球コロニー形成刺激因子(granulocyte colony stimulating factor;G-CSF)は,サイトカインの一種で,骨髄中の顆粒球系(特に好中球)の分化・増殖を促進する作用などを有する。がん化学療法におけるG-CSFの有効性の評価は,好中球減少程度,好中球減少期間,FN発症頻度,入院期間の延長,感染症関連死亡,化学療法の相対治療強度,無増悪生存期間(progression-free survival;PFS),全生存期間(overall survival;OS),医療費などで検討され,ランダム化比較試験ではこれらに対する評価が行われている。
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