特集 小児神経難病の臨床
8.Rett症候群
高橋 悟
1
1旭川医科大学小児科
キーワード:
Rett症候群
,
神経発達障害
,
MECP2遺伝子
,
エピジェネティクス
,
治療法開発
Keyword:
Rett症候群
,
神経発達障害
,
MECP2遺伝子
,
エピジェネティクス
,
治療法開発
pp.953-960
発行日 2019年5月1日
Published Date 2019/5/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000000923
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Rett症候群は,主に女児に発症する神経発達障害である.診断は,臨床症状に基づいて行われ,以前はできていた運動機能・言語能力の退行があることが必須要件とされる.X染色体上にあるMECP2遺伝子の機能喪失性変異により生じ,その遺伝子産物methyl-CpG binding protein 2は,遺伝子DNAの塩基配列変化を伴わずにその発現量を調節する “エピジェネティクス” とよばれる遺伝子発現制御において重要な分子である.Mecp2欠損モデル動物を用いた研究では,Mecp2を再発現させると症状は改善することが示されており,本症は神経変性疾患とは区別され可逆性を有する神経発達障害と考えられている.対症療法から治癒を目指した分子治療へ向けて,治療法開発が精力的に進められている.
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