Japanese
English
特集 シナプス
Ⅰ.シナプス発生:形成と成熟
単一遺伝子疾患からアプローチする神経発達障害
Understanding neurodevelopmental disorders by studying diseases caused by single gene mutations
石田 綾
1
Ito-Ishida Aya
1
1理化学研究所脳神経科学研究センター
キーワード:
自閉スペクトラム症
,
Fragile X症候群
,
Rett症候群
,
シナプス
Keyword:
自閉スペクトラム症
,
Fragile X症候群
,
Rett症候群
,
シナプス
pp.23-26
発行日 2023年2月15日
Published Date 2023/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425201634
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自閉スペクトラム症(autism spectrum disorder;ASD)を代表とする神経発達障害(neurodevelopmental disorder;NDD)には遺伝的背景が強く影響し,約1,000個の関連遺伝子が同定されている。その半数以上がシナプスの形成や機能に関わる分子をコードするため,NDDは“synaptopathy”と考えられるようになった。また近年,NDDでは定型発達児と比べ脳の領域間をつなぐlong-range connectivityが低下していることがMRI解析により示された。したがって,シナプス機能とlong-rangeの結合変化の関係を明らかにすることがNDDの病態の理解に向けて重要だと考えられる。本稿では,単一の遺伝子異常によって発症するNDDとして,Fragile X症候群とRett症候群の研究を紹介し,両者から見えてくるsynaptopathy,脳領域間結合と行動変容の関係について展望を述べる。
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