新鮮腰椎分離症の骨癒合に身体柔軟性と体幹筋機能が与える影響

Effects of physical flexibility and trunk muscle function on bone union in fresh lumbar spondylolysis

要旨：新鮮腰椎分離症の骨癒合に身体機能が影響するか否かを検討した。対象は新鮮腰椎分離症にて骨癒合目的の保存療法を行い，骨癒合判定まで経過を追えた171例とした。器質的要素として，発生側（分離が片側か両側か），椎弓高位（第5腰椎か第5腰椎以外か），対側陳旧性分離の有無，病期（Ⅰa−・ⅠaかⅠbか）を，身体機能として，指床間距離（FFD），下肢伸展挙上角度（SLR），踵殿部間距離（HBD），股関節外旋・内旋可動域，lumbar locked rotation（LLR），modified Thomas test（Thomas変法），Sahrmann core stability test（SCST）を評価した。骨癒合した症例（癒合良好群）と骨癒合しなかった症例（癒合不全群）の2群に分け検討した。単変量解析より癒合不全群は癒合良好群と比較し両側発生例，第5腰椎発生例，対側陳旧性分離あり例，病期Ⅰb例，左右Thomas変法低下例が有意に多かった。多変量ロジスティック回帰分析より第5腰椎発生例，病期Ⅰb例，左右Thomas変法低下例が癒合不全群の特徴であった。骨癒合不良因子に腸腰筋の柔軟性評価であるThomas変法による評価における腸腰筋の柔軟性低下が関連していた。