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特集 腰痛診療の深化―“標準” と “こだわり” を知り診療に生かす
パーキンソン病と腰痛
Low back pain related to Parkinson’s disease
渡邊 慶
1
Kei WATANABE
1
1医療法人愛仁会亀田第一病院,新潟脊椎外科センター
キーワード:
Parkinson’s disease
,
Low back pain
,
Spinal fusion
Keyword:
Parkinson’s disease
,
Low back pain
,
Spinal fusion
pp.903-909
発行日 2023年7月1日
Published Date 2023/7/1
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000002638
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要旨:パーキンソン病(PD)は加齢性の筋骨格系の腰背部痛に加えて,PDの初期から非運動症状の一つとしての痛みや感覚障害も伴うことが多い。PDの進行期においては,ウェアリングオフ現象やジスキネジアといった運動合併症も痛みの原因となる。PDの痛みの新分類では,PD-unrelated painとPD-related painにまず分類し,PD-related painはさらに侵害受容性疼痛,神経障害性疼痛,痛覚変調性疼痛に細分化された。この新分類ではPD-related painが77%を占めたとの報告もある。最近は,脳神経内科より診療ステップが提唱され,さらにPD疾患特異的な痛み評価スケールも作成され,体系的に治療方針を決定することができるようになってきた。痛みに対する治療としては,薬物治療と運動療法がfirst line treatmentとなるが,難治性の場合は侵襲的治療も検討される。近年では脳深部刺激療法や脊髄刺激療法などの低侵襲治療も痛みに対する効果が報告されている。脊椎固定術では,局所の椎間変性や神経圧迫病変に伴う症状,骨粗鬆症性椎体骨折に対しては短椎間の除圧固定術が適応できる。重度の脊柱変形に対しては,長範囲矯正固定術が適応されるが,高い再手術率と周術期合併症発生率のため,その適応については慎重な術前評価による患者選択が重要となる。
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