大腿骨近位部骨折術後患者の栄養状態改善と退院時転帰との関係 -—当院調査の二次解析—

Relationship between nutritional improvement and outcome at discharge in patients with postoperative hip fracture；secondary analysis of our survey

要旨：大腿骨近位部骨折術後患者（骨折患者）の転帰は低栄養で悪化すると報告されているが，栄養状態が改善すると転帰は改善するのか否か，栄養状態改善因子が何かは明らかでない。骨折患者の栄養状態改善と退院時転帰との関係，栄養状態改善因子を調査した。対象はMini Nutritional Assessment-Short Formで低栄養かつGeriatric Nutritional Risk Index（GNRI）で栄養障害関連リスク重度から中等度の回復期リハビリテーション病棟転入骨折患者808例で，GNRIリスクの1段階以上の改善を栄養状態改善と定めた。退院時転帰：受傷前歩行Functional Independence Measure（FIM）の維持・改善，運動FIM effectiveness≧中央値に対する栄養状態改善の調整オッズ比は各1.83（p＝0.001），2.60（p＜0.001）で，栄養状態改善は有意な転帰向上因子だった。栄養状態改善と低年齢，Charlson併存疾患指数低値，Body Mass Index（BMI）高値，病棟転入後のBMI増加・摂食量増加・合併症発症なしとは有意な関連があった。栄養状態改善は骨折患者の転帰改善に寄与する可能性がある。