Japanese
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臨床
人工股関節全置換術(THA)術後の骨盤傾斜は,術前の骨盤傾斜の状態によって変化するのか
-―脊柱矢状面アライメントの関係を含めた検討―
Relationship between changes of pelvic inclination and sagittal spino-pelvic alignment in patients with hip osteoarthrosis after THA
古市 州郎
1
,
三谷 茂
1
,
難波 良文
1
,
三宅 由晃
1
,
梅原 憲史
1
,
河本 豊広
1
Shuro FURUICHI
1
1川崎医科大学,骨・関節整形外科学
キーワード:
Spino-pelvic alignment
,
Pelvic inclination
,
Total hip arthroplasty
Keyword:
Spino-pelvic alignment
,
Pelvic inclination
,
Total hip arthroplasty
pp.1837-1842
発行日 2020年12月1日
Published Date 2020/12/1
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000001561
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要旨:変形性股関節症(変股症)における人工股関節全置換術(THA)術後の骨盤傾斜の変化と脊柱矢状面アライメントの関連について調査し,骨盤傾斜の変化に影響する術前因子を検討した。対象はTHAを施行した変股症患者135例,手術時年齢は平均66歳(40~91歳)で,術前および術後1年のX線像で,立位anterior pelvic plane(APP)と各X線パラメータ,腰椎すべり症の有無を計測した。前傾群・後傾群それぞれ術後1年でAPPが5°以上前傾したもの,前後傾5°未満,5°以上後傾した群に分類して比較検討した。前傾群では術後後傾する症例が多く,術前に前傾が強い症例で後傾が大きかったが,脊柱矢状面バランスの影響はなかった。THAを行うことによって屈曲拘縮が解除されて後傾したと考える。後傾群では,より若年齢では骨盤後傾が修正され,術前胸椎後弯,腰椎前弯が減少し,矢状面バランスが悪い症例では術後にさらに骨盤が後傾していた。骨盤前傾患者の6割が5°以上後傾するため,カップ設置の調整をすることが望ましい。同様に後傾例でも,脊柱の可撓性が低下した症例では後傾がさらに進むことを念頭に置き,調整を考える必要がある。こうした結果から,THAを行う際には,骨盤前傾・後傾を予測し,術後アライメントに合わせた手術計画を推奨する。
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