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人工股関節全置換術前後の骨盤傾斜変位
Pelvic tilt displacement before and after artificial hip joint replacement surgery
西脇 徹
1
T. Nishiwaki
1
1静岡赤十字病院股関節・人工関節センター
1Dept. of Orthop. Surg., and Center of Joint Reconstruction, Japanese Red Cross Shizuoka Hospital;Shizuoka
キーワード:
anterior pelvic plane
,
functional pelvic plane
,
pelvic tilt
,
THA
Keyword:
anterior pelvic plane
,
functional pelvic plane
,
pelvic tilt
,
THA
pp.88-91
発行日 2020年1月1日
Published Date 2020/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei71_88
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【要 旨】
目 的:人工股関節全置換術(THA)による骨盤変位に影響する因子を検討した.
対象および方法:初回THAを施行した連続した症例の中から発育性股関節形成不全症(DDH)による変形性股関節症(OA)で術前後のCTを撮影した355関節を研究対象とした.術前後のCT画像を使用し,ZedHip(LEXI,東京)ソフトウェアで解剖学的骨盤基準面を決め,水平面に対し前方傾斜を+,後方傾斜を−と表記した.術前後の骨盤傾斜の差を骨盤変位とし,前傾方向への変位を+,後傾方向への変位を−と表記した.対側股関節の影響は股関節単純X線臥位正面像で最小関節裂隙を計測し,2ミリ未満のN群,2ミリ以上のW群,対側関節が人工股関節であるP群,両側同時に人工関節手術を施行したB群の4群にわけ検討した.
結 果:骨盤傾斜は術前平均2.6°±7.4°,術後平均3.1°±6.8°であった.術前骨盤傾斜と骨盤変位は負の相関(r=−0.46)があった.対側関節の状態により,N群49例,W群227例,P群55例,B群24例に分類した.骨盤変位量はそれぞれ−0.2±2.7°,0.8°±3.9°,0.5°±2.6°,1.1°±4.0°で,群間の骨盤変位の分散は有意に異なった(p=0.0001).対比較による検定ではW群・N群間(p=0.0020),W群・P群間(p=0.0003),P群・B群間(p=0.0086)に統計学的に差があった.
結 論:対側関節裂隙が広い場合には術前後の骨盤変位の分散が大きく,対側の関節裂隙が狭い場合や人工関節の場合には分散が小さいことがわかった.対側関節の状態は術前後の骨盤変位に影響を与えることがわかった.
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