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【要 旨】
目 的:患者因子を人工知能(AI)で解析し,人工股関節全置換術(THA)術後の骨盤傾斜を予測する.
対象および方法:対象は2005年1月~2015年8月に横浜市立大学附属病院でTHAを施行し,術後5年間経過観察が可能であった343例415股関節である.患者背景,画像検査,血液生化学検査,臨床スコアなどを術前因子として使用した.骨盤傾斜は三次元CTモデルと股関節X線正面像のイメージマッチング手法を用いて術前,術後1年,3年,5年で計測した.術前仰臥位と術後5年立位の骨盤傾斜角の差を術後の骨盤傾斜変化(PFA)として3群に分けた.
理化学研究所でAIによる機械学習を行い,random forest(RF)によりreceiver operating characteristic(ROC)曲線を作成し,ROC曲線下面積(AUC)により予測精度を判定した.
結 果:RFによる予測では,AUCは85%と高値を示した.術前予測では,重要度が高い変数として,腰椎前弯角(LLA),大腿骨前捻角(FAA),body mass index(BMI),骨盤傾斜(PT),仙骨傾斜(SS)があげられた.術前因子に術後1年のPFAを追加することでさらに高精度で予測できた(AUC 91%).FAA,BMI,PT,術後1年PFAを用いて骨盤傾斜予測に関するフローチャート(決定木)を作成した.
結 論:術前のLLA,FAA,BMI,PT,SSおよび術後1年PFAが骨盤傾斜のもっとも重要な予測因子として検出された.LLA,PT,BMIおよびSSは,以前よりTHA後の骨盤傾斜に関連する要因と報告されている.FAAについては過去の報告はないが,AI分析により重要な予測因子の一つであることが判明した.フローチャートを使用し実臨床で骨盤後傾高リスク群を予測することが可能であった.
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