Japanese
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特集 脊椎疾患・関節疾患による慢性疼痛治療 update
関節疾患の慢性疼痛に対する理学療法
Physical therapy for chronic pain due to joint diseases
栗原 豊明
1
,
木村 慎二
1
Toyoaki KURIHARA
1
1新潟大学医歯学総合病院,総合リハビリテーションセンター
キーワード:
Physical therapy
,
Chronic pain
,
Joint diseases
Keyword:
Physical therapy
,
Chronic pain
,
Joint diseases
pp.1371-1379
発行日 2019年10月1日
Published Date 2019/10/1
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000001062
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要旨:現在,日本では急速な高齢化が進んでおり,加齢が原因の慢性疼痛を伴う肩関節周囲炎や変形性関節症などの変性疾患が増加すると予想される。肩関節周囲炎は疼痛とともに関節可動域(ROM)やADLなどの改善を治療効果の指標としており,ROM訓練と徒手療法は推奨される。一方で物理療法は,単独ではなく,ストレッチングなどの運動療法と組み合わせることで疼痛の有意な改善効果が報告されている。変形性股関節症では患者指導(病識の向上およびホームエクササイズの指導)と運動療法,さらにその組み合わせが疼痛の改善に有効であるが,物理療法の効果は不明とされている。変形性膝関節症では定期的な筋力増強・有酸素運動,協調性訓練の継続が有効とされるが,ROM訓練と物理療法は各ガイドラインで一定の見解が得られていない。理学療法の問題点として,ホームエクササイズは多くの論文で取り入れられているものの,その実施の検証が困難であることが挙げられる。また,慢性疼痛に特徴的な運動恐怖症や悲観的な解釈をする破局的思考などの問題にも対応する必要があり,「いきいきリハビリノート」を用いた認知行動療法に基づく運動促進法が新たな治療手段の一つになりうる。
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