特集 内分泌疾患に伴う運動器障害
クッシング症候群における骨代謝異常の特徴
佐藤 悠太
1
,
龍野 一郎
1
1東邦大学医療センター佐倉病院,糖尿病・内分泌・代謝センター
キーワード:
Cushingʼs syndrome
,
Glucocorticoid
,
Osteoporosis
Keyword:
Cushingʼs syndrome
,
Glucocorticoid
,
Osteoporosis
pp.1549-1552
発行日 2017年12月1日
Published Date 2017/12/1
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000000233
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要旨:クッシング症候群(医原性を含む)が骨代謝に与える影響(ステロイド性骨粗鬆症)に注目し,その対策について概説した。細胞レベルではグルココルチコイドは骨芽細胞の形成,分化,増殖の抑制を引き起こす。また活性酸素種(ROS),小胞体ストレスを介した骨芽細胞および骨細胞のアポトーシスを誘導し,骨形成を低下させる。一方でグルココルチコイドはRANKL/OPG 比を増加させて破骨細胞活性化を引き起こす。また破骨細胞のアポトーシス抑制作用も明らかとなっている。臨床面ではクッシング症候群による骨代謝異常は原疾患治療により可逆的に改善することが多いとされてはいるが,長期にグルココルチコイド過剰が続く状況や,高齢者や閉経後女性などの老人性骨粗鬆症や閉経後骨粗鬆症を合併した患者,骨脆弱性の指標の一つである既存骨折などがある場合には,積極的にステロイド性骨粗鬆症を加療する必要もあることに注意する必要がある。
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