特集 非定型大腿骨骨折の病態と治療
非定型大腿骨不完全骨折に対する治療戦略 保存療法
湏藤 啓広
1
1三重大学大学院医学系研究科,整形外科学
キーワード:
Atypical femoral fractures
,
Incomplete fractures
,
Conservative treatment
Keyword:
Atypical femoral fractures
,
Incomplete fractures
,
Conservative treatment
pp.989-997
発行日 2017年7月1日
Published Date 2017/7/1
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000000082
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非定型大腿骨不完全骨折は完全骨折に移行することがあるため,最初から手術療法を推奨する報告が散見されるが,疼痛がごく軽度な症例や報告によってはradiolucent line が認められない症例に対して保存療法は試みられて良い方法であると考えられる。保存療法としては原因薬剤の中止,免荷,薬物療法,低出力超音波パルスなどが単独であるいは併用して行われる。原因薬剤がbisphosphonate製剤の場合には中止すべきであるが,中止するだけで骨癒合を期待することはできないと考えられる。Denosumab も中止した方がよいと考える。免荷は完全骨折に移行することを予防するためにも行われることが多いと思われるが,それだけで骨癒合する例は少ないと認識するべきである。薬物療法や低出力超音波パルスに関しては明確なエビデンスはない。しかし,calcium とvitamin D は十分量の投与が推奨されていて,daily teriparatide に関しては有効であるという症例報告が散見されているもののweekly teriparatideに関しては症例報告も少ない現状である。
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