特集 非定型大腿骨骨折の病態と治療
非定型大腿骨不全骨折に対する治療戦略 観血的手術
齋田 良知
1
,
最上 敦彦
1
1順天堂大学,整形外科
キーワード:
Atypical femoral fracture
,
Incomplete fracture
,
Prophylactic treatment
Keyword:
Atypical femoral fracture
,
Incomplete fracture
,
Prophylactic treatment
pp.999-1004
発行日 2017年7月1日
Published Date 2017/7/1
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000000083
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非定型大腿骨骨折(AFF)の発生の増加および認知度の高まりにより,不全骨折の状態で診断されるAFFも増加している。しかしながら,不全骨折に対して手術加療をいつ・どのような患者に・どのような方法で行うかに関するコンセンサスは未だ得られていない。われわれは,文献的考察および自験例の解析から,転子下に発生した不全骨折の予後が骨幹部発生例と比較し不良であることを明らかにした。このことから,われわれは特に転子下骨折例に対しては予防的手術を積極的に実施している。しかし,この骨折は単なる珍しい骨折ではなく,様々なリスクファクターの総和がその発生に関与しているため,いかに完璧に手術加療を行ったとしても,AFF の発生要因の改善を行わなければ術後成績の向上,患者のADL の向上は望めない。不全骨折の治療にあたっても,AFF のリスクファクターの理解の上にそれぞれの患者ごとにリスクを評価して治療方針を検討していく必要があると考える。
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