非定型大腿骨骨折に対する治療戦略

Treatment strategy for atypical femoral fractures

要旨：21世紀に入り，骨密度増加や脆弱性骨折予防の効果が高い骨粗鬆症治療薬であるビスホスホネート製剤の長期使用による骨代謝回転過剰抑制を誘因として大腿骨骨幹部に発症する非外傷性骨折として，非定型大腿骨骨折（atypical femoral fracture；AFF）の疾患概念が生まれた。AFFの骨折型が疲労骨折と類似していることから，日常的に過剰な荷重ストレスがかかる力学的要因を解明するために大腿骨の骨形態解析や生体力学解析が活発に行われている。筆者らは日本人に発症したAFFの発症高位別特徴を多角的に検証することで，AFFを「特異的薬剤による骨代謝回転抑制を主要因とし転子下に好発する典型的AFF」と「弯曲変形を示す脆弱な大腿骨の骨幹部中央に好発する疲労骨折（弯曲型AFF）」の2つに大別するサブタイプ分類（Oh理論）を提唱し，病態に即した外科的・内科的治療法を選択することを勧めている。