潰瘍性大腸炎に対する腹腔鏡下大腸全摘術

潰瘍性大腸炎（ulcerative colitis；UC）に対する標準術式は，大腸全摘・回腸嚢肛門吻合術（ileal pouch anal anastomosis；IAA）あるいは大腸全摘・回腸嚢肛門管吻合術（ileal pouch anal-canal anastomosis；IACA）である。IAAは1978年にParksら1）により初めて報告された術式であり，初回手術で大腸全摘・IAA・回腸人工肛門造設を行い，二期的に人工肛門を閉鎖する方法であった。その後，1986年にHealdら2）が器械吻合を用いたIACAを報告して以来，術式の簡便さから広く行われるようになった。いずれの術式も，全結腸から直腸に至る広範な剥離・授動，腸間膜の切離，回腸嚢作製後の肛門（管）との吻合（＋回腸人工肛門造設）を要する複雑な手技であり，手術時間も長期間に及ぶ。